古本武者修行 その1

 あうん堂本舗は、目下冬休み中である。

 馴染みのお客さんからは、いいご身分ですな、と羨ましがられるが、いえいえ「アヒルの水掻き」ですよ、と答えている。澄ました顔で気持ちよく水面を泳ぎ回っているが、水面下の両足はフル回転しているのである。

 冬休みに入って2週間あまり、3年分(古本屋になって以来、ということ)の在庫本の整理をひとまず休み、小旅行を兼ねた東京近郊の「古本市」に出かけることにする。

 さて、地元の「古本市」しか知らないあうん堂なので、組合入会時にいただいた「全国古書組合員名簿」の巻末に掲載されている、各地の古本市案内に目を通す。

 空いている日は三連休の最終日となる月曜日だけ……と1頁ずつチェックしてゆく。午前中から市が開かれているところといえば、東京都古書組合・南部地区の市会が午前9時半開催、とある。午後はといえば、おうおう古本屋のメッカである東京古書会館で「中央市会」なる市が立つではないか。よーし、めざすは五反田! 神田! と、リズミカルな響きで声を出しながら、ネットで宿を検索するのであった。

 2月9日、暖冬で今年は一度も雪が積もらなかった早朝の街を、歩いて金沢駅に行き、越後湯沢経由でいざ東京へと向かうのであった。(この項続く)

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