2006年5月27日 (土)

古本屋の修業先は古本屋

近八書房

古本屋の修業先は古本屋、今回ある事がきっかけで、この至極当り前の事実を想い出した。

私は若い頃古本屋という商売を継ぐ積もりが全く無く、東京の大学で工学部を卒業後、特殊な測定機関係の製造会社に就職していた。
30歳を目前に祖父が他界した折、古書業界の方々のお奨めもあり店を継ぐ決心をし、ご同業より神田神保町の修業先をご紹介頂き、4年半程の丁稚奉公をして幾ばくなりとも古書に関する修行を積ませて頂いた。

さて話は変るが、皆さん「弁護士のくず」ってご存知ですか?
「弁護士のくず」は漫画家井浦秀夫氏の作品で、小学館のコミック誌「ビッグコミックオリジナル」に連載されているが、これが4月からTBS系列にてTVドラマ化されたのをご存じの方も多いと思う。
実は私はこれまでこのドラマを見ていなかったのだが、先日修業先の古書店の先輩に当るUさんから、メールを頂戴した。

と、ここまで書けば、勘の良い方ならば「はは〜ん」と膝を打っているところであろう。

そう、Uさんによれば、ドラマの中でモト冬樹演ずる法廷マニアで九頭の飲み友達の古本屋「国光裕次郎」の店「国光古書店」が(正確にはロケ先が)なんとその修業先だった店なのだと云う。

という訳で、先日慌ててドラマを拝見した。
Uさんによれば「毎回10時半頃ほんの30秒程しか映らないから、眼を離しちゃ駄目だよ」とお聞きしていたので、喰い入る様に眺めていたら、なんと修業先の書店の店内が映っているではないか。

本当に短いカットではあったが、懐かしさの余り思わずテレビに齧り付く様に見入ってしまった。
社長(勿論モト冬樹ではない事は云うまでもない)はお元気でいらっしゃるだろうか?
申し訳ない事に、随分ご無沙汰してしまっている。
来週もこのカットのためだけに、また見てしまいそうだ。

石川の古本屋のエントリに画像を付ける操作に馴れていないので、こちらで画像付でご紹介している。

修業先での思い出話などはいずれ機会があれば…

2006年5月26日 (金)

古本は、買って満足……

阿吽

 店にやって来るお客さんから、いつでもお好きな本を読めるのがいいですね、とよく声を掛けられる。私自身も二年前に店を始めた頃にはそう思っていたのだが、これが実はなかなかなのである。サラリーマン時代は、通勤電車の中の僅か10分の時間でも文庫本を開いていたというのに、今では10分あればひたすら本の表紙を拭いている。

 そんな古本屋のオヤジが久しぶりに読んだのが、樽見博著『古本通(ふるほんつう)』(平凡社新書)。 “欲しい古本は、買って満足!読んで2度目の満足!!” と書かれた帯文に惹かれ、一気に読み終えてしまった。経験の浅いオヤジには参考になるところも多かったが、今度この本を読んだお客さんが蔵書を売りにいらっしゃたらどうしよう……、と悩みの種がまた一つ増えてしまった。

2006年5月24日 (水)

領収書の話 (2)

鴨嘴


[[http://ishikawa.kosho.gr.jp/achv/56|前回]]は、そもそも領収書とは…など書いていたら長くなってしまった。今回はその続き。ところでこの間「領収書の書き方」というキーワードで検索してくる方が多いのに驚いた。このような情報は意外に少ないのだろうか。

=== 代金引換の場合 ===
通信販売、特にインターネット販売の場合、郵便小包や宅配便の「代金引換」((略して代引(だいひき)とも言う。))を利用することが多い。配達の際に配送業者が荷物と引き換えに購入者から代金を受け取り、後に配送業者から販売者に送金される仕組みである。

荷物の送り状のカーボンコピーが「受領証」や「領収証」となっていて、これが正式の領収書となる。
送り状のカーボンコピーであるから、領収書の宛名が荷物の配送先となってしまうことに注意が必要である。販売者に注文する際に、その点をよく考慮してから販売者に依頼してほしい。

正式というからには前回示した要件((簡単に書けば、表題、宛名、日付、内容、額、発行者))を備えているはずである。さてこの送り状のコピーであるから容易に想像できると思うが、このうち「発行者」はやや判りにくい。この記事を書くにあたり正確を期するため郵政公社およびヤマト運輸に問い合わせて確認した。

== 郵政公社の場合 ==
[[http://www.post.japanpost.jp/question/question/dai_qa/1.htm|郵便局の代金引換サービス]]というものがある。古本屋が利用するのは主に冊子小包のそれである。このページの「[[http://www.post.japanpost.jp/question/question/dai_qa/23.htm|印紙]]」のリンク先に、
> 領収証への印紙貼付\\
> 印紙税法により、額面3万円以上の領収証を作成した場合は、収入印紙を貼付する必要がありますが、
> **郵便局が発行する領収証**には貼付の必要はありませんので、その分差出人の負担が軽くなります。
(強調は引用者)とあり、この領収証の発行者は郵便局(日本郵政公社)であることがわかる。

「領収証を発行して現金を受け取る」ことと「荷物の差出人に送金する」ことは別のことと考えられる。

== ヤマト運輸の場合 ==
これに対して民間業者の場合はちょっと違う。私が利用しているのはヤマト運輸の[[http://www.kuronekoyamato.co.jp/corect/corect.html|宅急便コレクト]]なので、これについて述べる。もしかしたら他社ではまた違うかも知れない。

郵便局の代金引換サービスは誰でも窓口に行けばすぐに利用できるが、宅急便コレクトは事前に発送者とヤマト運輸側(([[http://www.kuronekoyamato.co.jp/|ヤマト運輸株式会社]]および[[http://www.yamatofinancial.jp/|ヤマトフィナンシャル株式会社]]))のあいだで「商品代金集金委託契約」を結ぶ。それによって、配達員は発送者の委託を受けて代金を受け取り、領収証を発行する。したがってこの場合、**領収証の発行者は発送者**である。

== 佐川急便の場合 ==
ここまで書いたところで、たまたま個人的にネット通販で電気製品を購入した。支払方法として代引を選んだのだが、配送業者は佐川急便であった。代金を支払い、送り状のコピーの領収証を受け取ったので、よく見てみた。
領収書
上記代引金額を領収いたしました
※この商品代金の領収書はご依頼主の委託により発行するものと致します
領収書発行者 佐川フィナンシャル(株)
集金代行者 佐川急便
この場合は但書きがちゃんとついていて、関係が判りやすい。

ここまで代引の領収書の発行者にこだわることはないだろうが、気になり始めるとますます気になってしまい、おかげで今回も長くなってしまった。領収書の話は[[http://ishikawa.kosho.gr.jp/achv/72|まだ続く]]。

2006年5月13日 (土)

忘れ果てられた、こないだ 1

huruhonn

(以下はすでに廃刊になった地域無料紙に発表した記事の再録。ホンの一寸語句などを訂正。ちなみに廃刊案内は直接聞いておらず、噂で聞いたのみ。もし関係者ご覧になったらいつでも連絡下さい。それではどうぞ。)

「忘れ果てられた、こないだ―地域ふるほん・ふるほん地域 1」
●「コーヒーのみあるきマップ」『おあしす』81号、1976年8月 (金沢百選会) 66p 4,000円

 読者のみなさま、秋も深まる中、もうお忘れかもしれませんが今年の夏はいささか暑かったようにも思います。そんなこの夏に扱ったふるほんより。

 月初頭真夏日、「ふるほんがあるので、引取りに来て欲しい。」との電話を受けました。うだるような暑さにやや弱気になりながらも、どんなふるほんに出会えるかと急いで出かける現金さ。お伺いしたお宅は、玄関入り口前に看板があがる、お花のお師匠邸。何でも、他の古書店にも連絡をしたが文庫や雑誌ばかりなので、断られたとの由。ふるほんや若手・新参者・後発参入組の私は、当市の職業別電話帳『タウンページ』をご覧いただければおわかりのように、書籍・雑誌はもちろんのこと、あらゆる紙モノ資料の買取りを歓迎いたしている旨の案内を掲出。お花のお師匠は、この広告を見て、「もう最後のつもり」と弊店に依頼したようです、ありがたい。

 午後2時、気温35度、すでにふるほんは玄関前に並べられ、サンサンと太陽を浴びている。ここ10年ぐらいの生け花関係の雑誌、カバーのない「裸」文庫など500冊くらいが白日の下にさらされている。ウ~ン、これはいかんともしがたい……。やはり他の古書店のように引取り出張のハードルをきっちり、かしこく設定せねばならぬのだろうか……。真夏炎天下、私は何をやっているのだろうか……、暑さと想念でクラクラしているそんな時、生け花雑誌の下敷きになっていた、1970年代地域ミニコミタウン誌『おあしす』のかたまりをおりしも発見。ああ、救われた。

 さてそのうち、「コーヒーのみあるきマップ」という特集号の『おあしす』81号をご案内します。その内容は「一杯のコーヒーから……―金沢の喫茶店盛衰記―」という歴史をさぐる記事にはじまり、1976年当時の各喫茶店マッチラベル、所在地図、ブレンドの値段や名前の由来について聞くアンケートというものです。30年近く前の喫茶店マッチラベルは眺めているだけでも楽しいものです。

 この『おあしす』は、何か町を歩いて歩いて作られた誌面となっているように感じます。町を散歩すること、ブラリと喫茶店に入ることが日常だった時代の雑誌といえます。

 2004年秋、地域雑誌『■』創刊号、寄稿の光栄に浴することができた弊店。その弊店がこの夏、誌歴を今も重ねる「先輩」誌『おあしす』に出会ったのは、これ何かの書縁かもしれぬ、と今にしてふと思う。

2006年5月12日 (金)

本立て

阿吽

 十代の終わり頃、当時大好きだったサイモン&ガーファンクルの曲が使われていた映画『卒業』を見た後、レコード店で彼らの出たばかりのアルバム『ブックエンド』を買って帰った。“ブックエンド”という詞が出てくるのは、公園のベンチに座りもの思いに沈む老人を、ブックエンドにたとえて歌う「OLD FRIENDS」1曲だけであったが、若かった私は、この歌に込められた“老い”というメッセージに、全く興味を覚えなかった。

 五十代に入り、古本屋を始めたその一年目の冬休みのこと。夜の長い北欧の街を旅していた私が、コペンハーゲンの雑貨屋で見つけたのは、両手を高々と上げた人のシルエットをした“本立て”であった。それは、金沢から遠く離れた所までやってくることが出来てよかった、と元気よく両手を振っている姿であり、また三十年余りもよく働いてきたもんだ、と腰を伸ばしているようでもあり、やれやれこれからの人生はのんびりいかなくちゃ、と深呼吸しているようにも見え、嬉しくなった。そんな私の気持ちを表している“本立て”が、今私の机の上でしっかり本を支えてくれている。

本立て ところでこの“本立て”なるもの、机だろうが床の上だろうが、どこでも簡単に本をしっかり立たせてくれるので、本好きの私はとても重宝している。今年の冬休みには大きな本箱を片付けて、代わりにベッドサイドに小さな本棚を設けたので、そこに例の“本立て”を1個置くことにした。配偶者の本棚にも余った1個を置いたところ、「本立てなんて要らないわ」とあっさり断られてしまった。

 「だって横になって読むのだから、本も横にして積んどけば背文字も見やすいでしょ!」

 本棚の隅に追いやられた“本立て”は、支えるべき本もなく、あきらめ顔でバンザイしている。

ほんたて【本立(て)】

本を立て並べ、倒れないように両側から支える道具。

ブックエンド。ほんだて。

<新明解国語辞典>

Copyright©2006 石川県古書籍商組合