道路や駐車場で車を誘導する係員の技量には差が大きい。混雑しがちな駐車場では係員の判断と指示がものをいうのに、中にはその存在意義について問いたくなるような人もたまにいる。
金沢市内には、県立図書館のほかに玉川図書館・泉野図書館という二つの市立図書館と、三つの公立図書館がある。わたしはその三つとも利用しているが、その誘導技術と采配において、玉川図書館常駐の、やや体格のよいガラガラ声の眼鏡の係員の方(仮に以下ガラさんとする)は圧倒的にすばらしい。
といってもわたしはご本人と世間話や挨拶を交わすなど個人的に親しくしているわけではない。駐車場で長話など禁物である。ただ、ガラさんはすいているときも混んでいるときも、駐車しようとする者に的確に指示をだせるという点において高技術であり、それでわたしが一方的に好意を寄せている。
ある日、出かけたついでに図書館に本を返すために車で玉川図書館に寄ったとき、駐車場に入りかけてから前方に数台がすでに行列中であることが判明した。何もこんな日に寄らなくてもよかったと悔やみかけたとき、ガラさんが窓ごしに声をかけてきた。「返却だけですか。もしそうであれば、代わりに返却してきますからいまここで本を渡してください。」おお、なんと有難い申し出。並んだ車両みなに聞いて回っていたようである。実に助かった。このような申し出を受けたのはこれが初めてだったが、駐車場混雑緩和という観点からは、みなにとって助かること。こんなエピソードは一例にすぎない。
ガラさんはロボットやマニュアル頼りにはできないその場その場の判断ができる係員なのだ。