領収書の話 (2)

前回は、そもそも領収書とは……など書いていたら長くなってしまった。今回はその続き。ところでこの間「領収書の書き方」というキーワードで検索してくる方が多いのに驚いた。このような情報は意外に少ないのだろうか。

代金引換の場合

通信販売、特にインターネット販売の場合、郵便小包や宅配便の「代金引換」(1)を利用することが多い。配達の際に配送業者が荷物と引き換えに購入者から代金を受け取り、後に配送業者から販売者に送金される仕組みである。

荷物の送り状のカーボンコピーが「受領証」や「領収証」となっていて、これが正式の領収書となる。送り状のカーボンコピーであるから、領収書の宛名が荷物の配送先となってしまうことに注意が必要である。販売者に注文する際に、その点をよく考慮してから販売者に依頼してほしい。

正式というからには前回示した要件(2)を備えているはずである。さてこの送り状のコピーであるから容易に想像できると思うが、このうち「発行者」はやや判りにくい。この記事を書くにあたり正確を期するため郵政公社およびヤマト運輸に問い合わせて確認した。

郵政公社の場合

郵便局の代金引換サービスというものがある。古本屋が利用するのは主に冊子小包のそれである。このページの「印紙」のリンク先に、

領収証への印紙貼付

印紙税法により、額面3万円以上の領収証を作成した場合は、収入印紙を貼付する必要がありますが、
郵便局が発行する領収証には貼付の必要はありませんので、その分差出人の負担が軽くなります。

(強調は引用者)とあり、この領収証の発行者は郵便局(日本郵政公社)であることがわかる。

「領収証を発行して現金を受け取る」ことと「荷物の差出人に送金する」ことは別のことと考えられる。

ヤマト運輸の場合

これに対して民間業者の場合はちょっと違う。私が利用しているのはヤマト運輸の宅急便コレクトなので、これについて述べる。もしかしたら他社ではまた違うかも知れない。

郵便局の代金引換サービスは誰でも窓口に行けばすぐに利用できるが、宅急便コレクトは事前に発送者とヤマト運輸側(3)のあいだで「商品代金集金委託契約」を結ぶ。それによって、配達員は発送者の委託を受けて代金を受け取り、領収証を発行する。したがってこの場合、領収証の発行者は発送者である。

佐川急便の場合

ここまで書いたところで、たまたま個人的にネット通販で電気製品を購入した。支払方法として代引を選んだのだが、配送業者は佐川急便であった。代金を支払い、送り状のコピーの領収証を受け取ったので、よく見てみた。

  領収書
  上記代引金額を領収いたしました
  ※この商品代金の領収書はご依頼主の委託により発行するものと致します
  領収書発行者 佐川フィナンシャル(株)
  集金代行者 佐川急便

この場合は但書きがちゃんとついていて、関係が判りやすい。

ここまで代引の領収書の発行者にこだわることはないだろうが、気になり始めるとますます気になってしまい、おかげで今回も長くなってしまった。領収書の話はまだ続く

  1. 略して代引(だいひき)とも言う。
  2. 簡単に書けば、表題、宛名、日付、内容、額、発行者。
  3. ヤマト運輸株式会社およびヤマトフィナンシャル株式会社

領収書の話 (2)」への4件のフィードバック

  1. 初めて、拝見しました。
    とてもわかりやすかったです。
    ところで、領収書と領収証は
    本当に同じ意味合いですか?
    場面によって使い分ける必要は
    ございませんか?

  2. ありがとうございます。
    語としては「書」は書面であること、「証」は証しであることをそれぞれ強調しているように感じますね。場面によってはそういう使い分けがあるかもしれませんが、私が調べた範囲ではどちらでも同じです。前にも書きましたように法律では「受取証書」です。表題がたとえ「領収証書」「受領証」「受取」になっていても文書の意図する内容が同じなら同じでしょう。

  3. ヤマトの宅急便コレクトの代引きにての納品。
    送り状兼領収証は税法上公認されますか?

  4. その送り状兼領収書に、「印紙税申告納付につき日本橋税務署承認済」という文言が印刷されていることからもわかるように、領収書として認められるはずです。

    と私が答えても何の保証にもならないので、最終的には税務署にお尋ねください。

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