ここ金沢では、藩政期に五代藩主前田綱紀公が、初代前田利家公の時代より愛好されてきた金春流から、宝生流へと流派を替えたことをきっかけとして、加賀宝生と呼び慣わされる位に栄えてきました。
宝生流の能楽は現在も市民の間で広く愛好されており、市内の公民館などでは宝生流の謡曲教室が盛んです。
そこで必要になってくるのが謡本ですが、これがいまでも昔ながらの和綴じ本(和装本)として販売されています。
ご覧のように和綴じ本(所謂四つ目綴じ)は4つの穴に綴じ糸を通して造本をする訳ですが、この綴じ糸が困ったことに実によく切れるのです。
今回は、一昨年の古書の日イベントでも講習会をしました綴じ糸の切れた和綴じ本の修理について書いてみたいと思います。
上の画像のように1箇所でも綴じ糸が切れてしまえばこれを繋ぎ直すのは無理なんです。
それは、綴じ糸が一本の糸で途切れることなく綴ってあるからで、無理に他の糸で繋ぎ直そうとしても、とても体裁の悪いものになります。
ここは思い切って、綴じ直しにチャレンジしてみましょう。
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